2015年7月22日水曜日

KONICA M-HEXANON LENS 50mm F2 3216626 JAPAN 40.5Φ



Konica HEXAR RFと同時発売されたM-HEXANON 50/2。1999年の世紀末に突然ライカマウント
国産RFカメラが発売されたのは驚いた。



特に高級感も無いけど、安っぽくもない。すごーく普通、割と普通。

前回プラナー50/2ZMを紹介したが、今回も同じくライカMマウントの50/2レンズ。両者のスペックを比較してみると。非常に似通ってる、どちらもシンプルな6枚ガウスタイプでマウントも同じ。目指す所は全く同じでは無いのだろうが、同じ様な頂を目指して作られたのでは無かろうか?

40年、50年前ならメーカー間で製造技術や光学設計に差もあるかも知れないが、作られたのは1999年と2005年で、どちらも日本製。光学設計も枯れて十分理解しての設計だろう。販売価格だって差はあるけど、どちらも十分にコストは掛けられてると思える。

さて?同じ様なレギュレーションで作られた、近代のレンズがどの様に写りの差が認められるか、結構興味深いのである。


開放 - α7、JPEG

先ず断って置くが、M-HEXANON 50/2は良く写るレンズである。定点テストを見ても十分良く写ってるし、実際に使用していても、撮った画像を見ても、良く写ってる。全くもって十分に優秀なレンズ。それを踏まえての話だと理解して下さい。

開放で抜けも良く、ピントもシッカリある。優秀である。湾曲も素晴らしく良く補正されてる。シンプルなガウス型の良さを感じる。プラナー 50/2 ZMと比較すると、ボケが僅かに硬く、パープルフリンジが若干出やすいようだ。抜けは僅かに悪く感じる、僅かにね。

くどいけど、細かく比較すればの話。ご覧の通りM-HEXANON 50/2 は良く写ってます。


F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop


F5.6 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

絞っての描写は優秀。全く問題なし。α7のEVFで覗いて居ても、ピントもシッカリ見やすい。プラナー50/2 ZMと比較すると、僅かに鮮鋭度はプラナーの方が上のように見える。並べて比較すればの話で、単品では差は判らない程度の話。よく撮れる。


F3.5 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop


開放 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

開放で撮ったら狛犬が歌舞伎の書割か貼り付けたコラージュみたいになってキモチワルイ。

開放でも中心付近のピントはシッカリでる。猫に合わせたピントのキレは素晴らしい。この写真でのボケは少々ウルサイ部類だろう。それよりも画像では現像時にケアしてるので目立たないが、撮ったままだとこの写真ではパープルフリンジが結構目立った。光源ボケにもカラーフリンジが目立つので、軸上色収差は少々大きそうではある。現像していて発色が少し気持ち悪いのは色ズレを像に内包してるからかも知れない。



上の写真の元データ等倍切り出し。


開放 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

夕方に開放で遠景を撮った。中心付近はちゃんとピント来る。周辺は微妙に甘いが程度としては優秀である。柔らかくって良い位。この写真でもパープルフリンジは少々目立った。



F2 - F2.8 - F4 - F5.6 - F8 - F11 - F16



F2 - F2.8 - F4 - F5.6 - F8 - F11 - F16

定点撮影は優秀。開放での中心のキレは実写でも実感出来た。周辺減光の傾向や最外周でストンと落ちる解像度など、プラナー50/2 ZMとよく似た画質の傾向である。写りの違いは興味のある人はオリジナルサイズの画像を落として比較してみて欲しい。Webサイズで見ては差は判別出来ないです。

さて、ここからが考えさせられてしまった。

僕は捻くれ者なので、世間で良いとされるブランドの品などは、「本当にそれほどなのか?」って疑って掛かる。有名ブランドの高級品より、安価な製品が性能良かったりすれば痛快だったりするのだ。そういう意味で今回のM-HEXANON 50/2と前回のプラナー50/2 ZMの比較は、「安いM-HEXANONが良かったりしたら面白いな」などと考えていた。。

最初に書いた通り、M-HEXANON 50/2は良く写る立派なレンズです。しかし、今回試した2本では詳細にプラナー50/2 ZMと比較すると僅かに劣るのである。勝らずとも劣らずなら拮抗だが、残念ながら勝らずに劣るのである。

この差は何が原因なのだろうか?製造技術?光学設計?どちらにも明確な差があるとは思えないのである。しかし、僅かではあるが、画に差は明らかにある。区別付かない程度ではない、詳細に見れば区別出来る差がある。

何人かのカメラメーカーさんのエンジニアさんに、この差の原因をどう考えるか聞いてみたら、設計値で明確に差があるとは思わないが、製造時の組み立て精度の差では無いかとの意見を頂いた。

要するにCarl Zeissはシッカリ追い込んで組んで居て、M-HEXANONはそれなりって話。
なるほど、そんな物なのかも知れない。が、そうなると、そんなに大雑把に組んでるのかと少々悲しくなる。

ま、この2本じゃ判らない話です。。。

2015年7月6日月曜日

Carl Zeiss Planar 2/50 ZM T* 15533339



2005年にコシナから発売された、ライカMマウント・レンジファインダーカメラ・Zeiss Ikon用の標準レンズとして発売されたPlanar 50/2。21世紀に作られた立派な値段の50/2。さぞかし良く写りそうな佇まい。コシナさんのHPからセールストークによれは。

  • フルサイズをカバーする余裕のイメージサークル
  • 鮮明でヌケの良い画像をもたらす高度なフレアコントロール 
  • 実用上ゼロに近く補正されたディストーション
  • 絞り値に関わらず最小限に抑えられた焦点移動
  • 正確な1/3EVステップの10枚羽根虹彩絞り
  • 非常に正確な距離計連動メカニズム
  • 偏りのない色再現性のためのカラーマッチング
  • 美しい合焦範囲外の描写性能(ボケ味)

なんだか素晴らしそうです。




見た目もシックです。実際造りも良くて、各部の動作もスムーズ。重厚感は無いけど、クラシックなんだけどスマートなインテリ君。


開放 - α7、JPEG

「鮮明でヌケの良い画像」の謳い文句に偽りなし。マジにクッキリ!スッキリ!。「実用上ゼロに近く補正されたディストーション」も偽りなし。僅かには歪曲あるけど、良く補正されてます。Gプラナー45/2の衝撃再びな感じ。

実際に使った感じでも、写りの傾向はGプラナー45/2に非常に似てる。設計の目指す所が同じコンセプトなのでは無いかな?開放からコントラスト高く抜けが良いのは同様だが、Gプラナー45/2で気のせい程度に僅かに感じる線の太さは無く、キレも良い。


F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop


F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

何も言う事ありません。


開放 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

開放だとピント来ないかな?って心配は無用。特に中心付近なら開放からキレる。


F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop


F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop


F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

Gプラナー45/2も同様に実直に素晴らしく写るけど、アダプターで使うのはお世辞にも使い易くは無い。その点プラナー50/2ZMは全く問題無しに使い易い。このレンズはクラシックレンズの残存収差故の個性的な描写は持って無い。恐ろしく実直に素晴らしく写るって事ではベストな一本なのは間違い無いレンズ。



F2 - F2.8 - F4 - F5.6 - F8 - F11 - F16 - F22



F2 - F2.8 - F4 - F5.6 - F8 - F11 - F16 - F22

遠景定点撮影は、開放では短辺内接円に僅かに足らないが、それでも良像範囲は広く、実使用でのキレの良さが納得出来る結果。F2.8で短辺内接円内は良像がカバーする。F5.6やF8で言う事無い写り。

Gプラナー45/2も同様なのだが、画面全域で良く写るのだが、本当の隅っこの隅の四隅はストンと画質が落ちる。大きさとコスト等を考慮して、敢えて四隅は捨ててるのだと思う。周辺光量落ちも光量が十分な部分と足らない部分の境は比較的ハッキリしてる様に見える。これが、バックフォーカス短いレンズをデジで使ってる故なのかは判断出来ないが、ボケテストの開放を見ると開放での口径食はそれなりにあるので、光量落ちもそれなりのハズではある。

「フルサイズをカバーする余裕のイメージサークル」の謳い文句に関しては、恐らくフィルム時代の基準なら十分過ぎると思うが、正に重箱の隅が見えるデジだと隅っこは残念になる。通常の撮影では先ず問題になる事は無い隅っこの話。この点はGプラナー45/2も同じ。しかし、恐らくFEマウント専用で作られてる純正のSonnar T* FE55/1.8は重箱の隅まで対応した設計をしてるのでは無いだろうか?使った事無いから想像ですけどね。